触る? 「彼女と彼女の情景」6

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境内の奥、

明るい広場、わたしたち以外は誰もいない。

「お姉さん、また会えたね」

気付いてたの? 無意識に眼で追っていたのかもしれない。

「お姉さんのこと、仔狐ちゃんって呼んでいい?」

自分を「仔犬」と呼ぶ、小さな女の人が無邪気に微笑む。

「仔犬に興味ある?それとも首輪?……触ってみる?」

どうして手を引かれるまま、ついて来てしまったのだろう。

目の前の存在に、ふいに怖気に似た気持ちがよぎる。

触れたらきっと、もう元いた日常には戻れない気がするのに・・・。

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