”仮面ライダー女子会” は百合物語?

仮面ライダージャンヌ&アギレラ ガールズリミックス(2022年)

を観ました。

仮面ライダー、スーパー戦隊両シリーズとも作品ごとの枠を越えて共演することが普通に感じられる昨今だから、女子ライダー中心で共演する作品もそのうち製作されるだろうと思ってました。

観てみたいと思ってましたし、実際製作されてみたら、坂本浩一監督では期待するなと言われても無理な話です。

ただ実際には、ちょっと歪で残念な作品だったかなと個人的には感じました。

記事挿絵:えふゆ  無断転載厳禁

プロローグはいい感じ。だけど違和感

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冒頭で国安0課の大門凜子と、AIMSの仮面ライダーバルキリーが登場して、探偵事務所の所長 鳴海亜樹子が仮面ライダーたちに招集をかける展開。

東映では昔から悪を懲らしめる女性だけ(もしくは女性中心)のチームが活躍するドラマがありますけど、そういうドラマの仮面ライダー版を期待しちゃったのです。

国安0課にAIMS、国家機関さえ動き出す度えらい大騒動の解決に仮面ライダーが活躍する物語・・・だったらいいなぁ、なんてワクワクしたのですが。

でも、配信のスピンオフ作品に期待し過ぎでしたね。

アバンは最高にテンション上がる、いい感じですね。

でもこの後のさくらと花のやりとりを挟んで以降にず〜っと違和感があって、

招集をかけられる仮面ライダーが、何故女子ばかり?

と感じてしまいます。

「スーパーヒーロー大戦」臭を感じる?

仮面ライダー50周年の”イベント”であるし、TVでも映画でもないから、歴代の登場人物を集める事が目的ならばストーリーが雑になるのは仕方ないのかな。

事件解決後のエンディングの様子からして目的は”女子会”かな、なんて思えます。

だからなのか、個人的には「スーパーヒーロー大戦」臭を感じるのです。

「スーパーヒーロー大戦」(2012年)は仮面ライダー、スーパー戦隊両方のシリーズの敵・味方キャラクターがこれでもかと登場して激突する、公開当時話題になりましたね。

この作品が公開されたあたりからヒーロー共演作品がイベント的に本編に影響することも増えて来て、定着した感がありますね。

これ以降

「スーパーヒーロー大戦Z」(2013年)

「仮面ライダー大戦」」(2014年)

「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」(2015年)

「超スーパーヒーロー大戦」(2017年)

「スーパーヒーロー戦記」(2021年)

製作されます。

ちなみに、マーベルの「アベンジャーズ」一作目の日本公開も2012年でしたね。

最初の「スーパーヒーロー大戦」は初めての試みだった事と、中心になってドラマを引っ張ったキャラクターが仮面ライダーディケイドとゴーカイレッドだったこともあって共演もさほど違和感をを感じなかったし(両者とも先輩ヒーローにも変身できちゃうから)、

ストーリー的にも色々なヒーローがごちゃごちゃ登場する”仮面ライダーディケイドの劇場版”と捉えれば整合性の無さにも無理やり納得できます。

ただ翌年以降に公開された一連の作品群には、

それぞれのキャラクターの世界観を軽視した、”ヒーローキャラクターカタログ”的にヒーローを沢山登場させるだけの映画にしか思えない残念なシリーズとなってしまった感は否めないかな、

テーマもストーリーも無理矢理拵えてる印象を拭えない、と個人的には感じてます。

ガールズリミックスも物語的には”ガールズキャラカタログ”になってしまってるのが非常に残念と思います。

こんなに多くの歴代オリジナルキャストを登場させてるのに、勿体無いなぁ。

こんな機会は、二度目があるとは思えないけど。

仮面ライダーに変身する人も しない人も、みんなフィジカルコンバットしてるシーンがあるですけど、その辺りも小さく違和感感じてしまいます。

坂本浩一監督だから、美女がアクションするのはお約束なのでしょうけどね。

電波人間タックルは”仮面ライダー”の夢を見るか?

女子ライダーたちが戦う敵としてタックルが復活してましたね、黒いけど。

仮面ライダーの称号こそ与えられなかったけど彼女こそ仮面ライダー世界での、”元祖”女性変身戦士ですね。

平成・令和の女子仮面ライダーチームに立ちはだかるのが元祖だなんて。

黒くて敵だなんて何だか意味深です。

復活は「W &ディケイド MOVIE大戦2010」以来でしょうか。(この時、ユリ子を演じたのが広瀬アリスでしたね)

偶に引っ張り出されても仮面ライダーを名乗らせない、何だか不憫に思います”元祖”だけに。

初登場した「仮面ライダーストロンガー」(1975年)の製作が”今時”であれば彼女も、もっと強くて、仮面ライダーを名乗ったでしょうか。

そろそろライダーマンの様に仮面ライダーを名乗らせてあげたいです。

男の存在しない歪な世界の物語?

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この作品最大級の違和感は男性がほぼ登場しないことなんです。

回想シーンとブラックサタン戦闘員(あとは警察官)以外に男の登場人物がいなかったのがなんだか変な感じしました。

戦闘員や警察官(一般人は登場してなかったかな)は登場人物として名前がない。

戦闘員は大将に仕える手下・下僕は、名前などあっても無くても問題視されない。

なんだか変態的妄想を惹起させられます。

きっとこれは、説明なくオーロラカーテンで仕切られた、

極端な女尊男卑な別の世界、仮面ライダーディケイド的な言い方をすれば”ガールズリミックスの世界”を舞台にした物語なのでしょう。

女たちは様々な愛欲を謳歌し合う一方で男たちは女たちの思惑次第の下僕・奴隷の身。

身体能力や体力を見込まれた奴隷は、女を守り、命じられるままに戦う戦闘下僕、もしくは奴隷戦士として生きてゆく。

他には、知力のある者、見目麗しい者が重宝されるけど、総じて子種という消耗品。

何も持ち合わせてない男や年老いた爺はどうやってこの世界で生きていくのか。

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・・・いや、本当に歪な妄想を掻き立てる雰囲気を感じてしまいます。

やはり世界は、両方の性があってこそ、ではないかと。

最初から歪な世界観を構築するつもりであるのならばともかく。

年上のお姉さんを妹扱い?

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「仮面ライダーリバイス」(2021-22年)のTVシリーズの時から感じてたのが、さくら と花の関係ですね。

百合の香りをそこはかとなく香らせている雰囲気を感じたりします。

シンボル・アイドルとして利用された後、保護対象の様な状況だった花が、自主性を主張するキャラクターに成長しても、妹的な立ち位置を拭えなかった様に見えたのは、さくらの方がが主人公兄妹の一人だったからなのかな。

それとも演じた役者さんたちのルックスやキャラクター設定に基づいた演技がそんな印象を残すのかな。

ガールズリミックスでのさくらの不用意な言葉に傷ついて拗ねた様な態度も妹的に見えちゃうのです。

事件解決後の二人の会話から、花の方が年上(演じた役者さんたちの実年齢と同じなのですよね?)なのが判るのですが、絆で結ばれた女二人の妹ポジションの年上姉さんって何だか歪な感覚を拭えないです。

「もう離れちゃだめだよ」と言うさくらの言葉に、「花は家出から戻って来たペットか?」、という感じもそこはかとなく感じます。

結局は仮面ライダーに登場した女性キャラクターを使って百合物語をやってみた、と言うところでしょうか。

多様性な時代ですからね。

下品な言い方になりますが、AVをはじめとする”ヌかせる”ことを前提で製作されるアダルトコンテンツ を別にすれば、

物語的に必然性を感じないセンシティブやエロティシズムなシチュエーションは、助平視聴者としても”引く”かな、と思えてしまうのです。

そうとしか思えないのは感じ方が浅いのでしょかね。

記事挿絵:えふゆ  無断転載厳禁

思うのは、本編と劇場版の他に、スピンオフ多すぎるのでは。

無理して残念な物語を量産するくらいならば、制作本数を少なくして、人材・コスト・時間を集約してもいいのでは。

酷いもの沢山観せられるより嬉しいかも。

関係者では無いから製作してる人々の事情なんて知りませんけど。

あくまで世間知らずな個人の感想です。

そんなこと思ってしまう方がどうかしてるのかなと思いつつ・・・。

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